だいたいドイツのメーカーは能書きがやかましい。技術がどうしたとか理論がどうだとか、ユーザーを説得ではなく説教するような調子も見えて、しまいにはワカッタと逃げ出したくなることもある。そんな中であまり肩が凝らないのがBMW, やはりバイエルンの気風は少し違うのだ。彼らが作ったスポ−ツカ−は、だから遊び気分が第一である。

■2年たって初の来日
 BMW Z1も“永らくお待たせ”の1台である。87年のフランクフルト・ショーに参考出品され、88年10月、イタリア中部の保養地プンタ・

アラで初のジャーナリスト・テストに供された“ツェット・アイン”、いろいろなプラスチックを組み合わせたボディが売り物の、生産車というよりコンセプトカーに近い性格を持つものだけにそうたくさん作れるものでもなく、またBMWの方針として当面はヨ−ロッパだけで売るということだったので、日本のファンとしてはただ首を長くして待つしかなかったのだ。あれから2年、やっと谷田部のテストコースで計測できるはこびになったので、似たような2シータ−・オープンのスポーツカーを引き連れて、BMWなりのフィロソフィーを浮き彫りにしてみよう。お供は“本家”ドイツ流の代表ポルシェ944カブリオレと日本式スポーツカーの売れっ子マツダ・サバンナRX-7, それぞれ確固たる個性の持ち主である。

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